近頃、大きいドラッグストアが増え 2月にもなればたくさんの「おひなさま専用防虫剤」が販売されています。
しかし種類がありすぎて、どれを買えばいいのかわからない。
おひなさまと五月人形でもいっしょの防虫剤でいいものか?着物に使っている余った防虫剤を人形に使っていいものか?などのご不安にちょっと詳しいお役立ちページです。
家の中には服や繊維を食べて成長する虫が潜んでいます。もともとは外にいるのですが洗濯物や帰宅時にまぎれ込み、家の中に移動し押入のように暗くて暖かい場所に身を隠します。そして成虫になると明るい外に飛んで行きます。
今の住宅環境では床暖房やエアコンなどの使用で一年中、室温が20度以上になりますので暖かい家の中では1年中、虫の心配をしなくてはなりません。
無臭タイプ |
有臭タイプ |
有臭タイプ |
有臭タイプ |
濃度が高い場合、まれに銅に反応する。 |
プラスチックと反応する可能性 |
特に問題はなし |
金糸 銀糸 金箔に直接触れないようにする |
使用量を守って使用しましょう。 |
木製品の塩化ビニール系のコーティングも反応 |
他の製剤との併用は不可。 |
プラスチックのお道具には使用不可。 |
もし昨年、片付けた際にナフタリン系の防虫剤を何個か入れたとしましょう。
そして今シーズン、今度は樟脳(しょうのう)を入れたとします。
昨年のナフタリンの成分や臭気が、まだ箱やおひな様の着物に残っていたら、どうでしょうか?(上図の組合せ表参照) それだけで反応する事があるという話です。
事例 1 |
二種混合により、プラスチック製のお道具が反応して御所車の車輪部分を溶かしてしまった。 |
事例 2 |
二種混合により防虫剤が液体になり、ひな人形の白い襟が油状の輪のシミ(染み)ができてしまった。 |
事例 3 |
二種混合により、成分が液状になり、人形の顔に茶色い汚れを吸着(付着)させてしまった。 |
特にピレスロイド系(エムペントリンペノトリン)の防虫剤で、屏風などの金箔や角の金具類(銅の部品)は濃度が高い場合や直接接触させた場合など変色する事がありますのでご注意ください。 屏風などは風通しの良い場所で湿気をとってから箱に入れ、防虫剤は入れない方がいいと思います。 |
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樟脳(しょうのう)製剤の場合は、おひな様の衣装に金糸、銀糸、金彩加工を施してあるものは衣装に直接当たらないようにして下さい。 去年の製剤を覚えておき、二種混合(併用)にならないようにして下さい。(上の表を見て下さい) |
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特にピレスロイド系(エムペントリンペノトリン)の防虫剤で、たまに銅と反応し変色の恐れ(入れすぎた場合や濃度が高い場合、まれに)があります。銅と亜鉛の合金、真鍮が使用されている時も注意しましょう。
一般的な説明で悪いですが、鎧兜などは、ほこりを落として天気のいいカラッとした日に片付けましょう。 |
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プラスチック製のお道具で、パラジクロルベンゼンを使用するとプラスチックと反応し溶かしてしまう可能性があります。 |
お父さん、お母さんに買ってもらった大切な人形。
とても気持ちはわかります。大事にしたいために市販の一箱の半分ぐらいをたくさん入れてる人も多いのでは?
気密性が高い箱で温度変化の激しいお部屋で防虫剤をたくさん入れると一度気化した防虫剤が氷砂糖のような固まりになって出現します。(再結晶)
ではどれくらい入れたらよいのでしょうか?
市販の人形用防虫剤は必ず裏面に『何リットルに一個使用して下さい』と書いてあります。
そこで覚えてもらいたいのが左のイラストの「みかん箱」です。
ちなみにだいたい『40L リットル』です。
これを思い出して防虫剤を入れて下さい。少なからず多からずです。お雛様の箱が段ボールならば、1.2倍ぐらいでしょうか。(気密性が少ないから)
A 固まりを無理に取ると人形の衣装が傷みますので、風通しの良い場所で少し置きましょう。自然に気化し、染みにならないでしょう。
A 次の防虫剤を入れる前に箱や人形を風通しの良い場所で前の結晶を消すため少し置きましょう。人形の緩衝用の紙(白いクッションの役割の紙)は思い切って取り替えましょう。もしくは、どんな防虫剤の組合わせでも相性のいい防虫剤を選ぶかです。昨年の製剤名を忘れた時は「他の製剤と一緒に使用できます」と表示してあるものを選ぶ(ピレスロイド系に多い)のが安心策です。
A 使っても大丈夫ですが衣装に直接当たらないようにして下さい。それと来年が問題です。樟脳を使ったのなら来年はナフタリン製剤やパラジクロルベンゼン系はダメですね。(上の図参照してね)ピレスロイド系でしたら問題ありません。簡単にいえば樟脳を使うなら、この先ずっと樟脳という事ですね。毎年同じ防虫剤を使うということですね。
A これは知らなかったのですが、害虫を寄せ付けないようにするのが防虫剤で殺虫剤では無いという事です。有臭タイプなんかは匂いがするから虫が寄らず、食欲を無くさせたり、繁殖させないようにするのが防虫剤の目的です。
話は変わりますが害虫はグルメな奴で高級な裂地(生地)ほど食べるそうで人形や着物で言えば「ウール」「正絹」「羽毛」などの動物性繊維が大好物なんです。今度、メーカーのお客様相談室で殺虫剤があるか調べておきます。
A 五月人形でも材質がそれぞれ違いますので、一概には言えませんが兜や鎧などの組ひも(糸おどし)なんかは正絹が多いから防虫しなければいけないと思うのですが、「どんな材質でも大丈夫」という防虫剤があるのですが薬剤名までわからないので今後の宿題にさせて下さい。
最低限、ほこりを落として天気のいいカラッとした日に片付けるという事です。
A 同じメーカーさんのブランドでも製剤名の異なった商品が販売されています。これからは必ず商品名の横や裏面に、このページの一番上の図の4種類のどれかの製剤名が記載が書いてあります。メーカーや商品によって種類が違います。もし上の図に無いとすると「エンペントリン」か「フェノトリン製剤」です。どちらもピレスロイド系にはいります。ですから『他の人形用防虫剤と一緒に使用できます』という、うたい文句が書いてあります。買う前に上の図を参照して商品の裏面をしっかり読んで購入してください。
A くどいですけど、製剤名をよく見て買う。できれば毎年いっしょの商品。少なからず多からず。念には念で人形には直接当てない。使用上の注意をよく見る。
という事でよろしくお願いします、ありがとうございました。